非常停止ボタンについて
皆さんが使われている3Dプリンタには非常停止ボタンは付いていますか?
産業用3Dプリンタには安全装置の設置義務とPL法など様々な理由によって必ず非常停止ボタンを標準仕様として設置されていますが、ホビー用途の3Dプリンタには非常停止ボタンはほとんど設置されていないと思います。
しかし、いくらホビー用といえども数値制御の機械ですからベルト駆動の3Dプリンタやパワーのあるステッピングモーターとボールねじを使用したリニアレールなどを含め、手を挟んだり、ときには機械の思わぬ動きからノズルの接触やワークとの接触など危険と感じることはあると思います。
通常のホビー用途(家庭で使用する3Dプリンタ)はSTOPボタンなどは存在しますが、押した直後に即時停止するような意図するボタンではなく惰性で、ある程度動いてしまうのがほとんどではないでしょうか。
私が使用しているSnapmaker 3-in-1 Originalという3Dプリンタは3Dプリンタ機能以外にもレーザー加工やエンドミルやボールエンドミルなどを使用した切削加工(CNC)ができる複合機です。
通常の3Dプリンタでは、想像できない”思わぬ操作で事故につながる”ことも多い機械だからこそ、非常停止ボタンを設置すると良いと思います。
今回の記事ですが、Snapmakerユーザー向けですが、電源ケーブル周りを所有されている3Dプリンタに合わせて変更することでSnapmaker以外の3Dプリンタでも応用できると思います。
興味がある方はぜひトライしてみてはいかがでしょうか?
※この記事により発生する動作不良またはその他の弊害、事故事象に関する一切の責任は記事公開者当人は責任を追わないこととし、自己責任でお願い致します。
必要な部品を準備する。
今回必要とする部品は概ねAmazonで購入することができますので、一気に揃えたい方はAmazonで購入されると良いでしょう。
非常停止ボタン設置に伴って拡張BOXを作るため、せっかくなので3Dプリントデータを入れたUSBメモリを刺すためのコネクタと照明ON/OFFをできるようにするための回路も追加します。
当サイトはアフィ系なのでAmazonのアフィリンクになっていますのでご理解をお願い致します。
必要部品
- USB TYPE-A メスコネクタ 10パック
基盤にUSB-TYPE-Aメスコネクタがハンダ付けされVカットに沿って10個に切り分けができる工作用のUSBコネクタで購入時の価格は560円で中国から国際郵便で送られてきました。 - オルタネート 押しボタンスイッチ
ステンレス製の押しボタンスイッチで照明ロゴに押したらLEDが光る、またはLEDが光っていて押すとLEDが消えるNO/NC回路がついたスイッチで、購入時の価格は1050円でした。 - ラッチング緊急停止プッシュボタン
プッシュボタンを押したらロックが掛かり、アンロックにはボタンを回転させる産業機についている標準的な非常停止ボタンです。
このボタンもNO/NC回路がついたスイッチで、購入時の価格は980円でした。 - DC 5.5xプラグジャック延長ケーブル
3Dプリンタ付属のACアダプタから出力されるDCコネクタに合わせてSnapmaker ではΦ5.5mmDCコネクタ オス・メス延長ケーブルを購入しました。購入時の価格は699円でした。
※このケーブルを3DプリンタのDCケーブルに合わせると機種ごとに応用できます。 - LEDテープライト50cm 30灯 6000K
3Dプリンターの成型プラットフォームを明るく見やすくするためにUSB電源を用いたLEDテープ6000ケルビンの照明LEDテープで購入時の金額は980円でした。 - USB TYPE-Aオス ケーブル
今回は余っていたUSBのオスケーブルを切って使用しました。
よって0円。
オフハウスなどのジャンクコーナーでDCケーブルやUSBケーブルは購入できるので安く手に入れれると思いますが、今回はAmazonで購入したため、購入金額は合計で4,260円となりました。
純粋に停止ボタンだけであればDCケーブルと非常停止ボタンだけなので1700円で作成できます。
拡張BOXの回路図を作成
非常停止ボタン以外にも追加された機能もあるので、回路図を書いてみました。
2系統に分かれていますので、純粋に非常停止ボタンだけであれば回路図の上部の非常停止回路を作成すると良いでしょう。
USB照明やUSBメモリなどは下部の回路で作れば拡張ボックスに取り付けできますが、短絡させたり配線間違いをすると最悪の場合、USBコントローラー系を壊したりしますのでご注意ください。
回路図はPDFファイルとして公開しておきます。
EMRGENCY_STOP_BUTTON_circuit diagram.PDF
ここまでの流れはYoutubeでもどうぞ。
0023_3Dプリンタに拡張ボックスを作って非常停止ボタンを設置する1
[su_youtube url=”https://youtu.be/pUcN00dNwPI” width=”540″ height=”360″]
拡張BOXを作成する。
回路図をもとに、ボタン類を設置するための拡張BOXを作成します。
今回作成した拡張BOXはかなり小さいサイズでコンパクトを求める代わりに、中の構造が非常に狭く配線には工夫が必要かもしれません。
3D-CADでの設計画像ですが、一番幅をとっているのが非常停止ボタンですが、USBコネクタは取り付け向きに合わせて基盤長さ分だけ空間を占めるので内部がかなり複雑になってしまいました。
下板はネジ止めできるようにしていますが、ネジ頭の逃しを作っていないので出っ張った状態になってしまってます。 真ん中の2本の穴はSnapmaker3-in-1 Originalの液晶コントローラー用のホルダーが付いていた穴に合わせています。
下板の3Dプリンタ出力画像です。
単なるのっぺりとした板なので印刷精度は低くて大丈夫だと思います。
だいたい印刷時間は30分程度。
Snapmaker 3-in-1の印刷範囲内でケースと下板を一度に整形できます。
整形する際は動画で確認していただくとわかりますが、ケースの印刷は上の映像の置き方ではなく中が見えるようにひっくり返して設定してください。
内部はサポートが必要ですが密度は上げないほうが良いと思われます。
※多分、サポート密度上げると剥がれにくく、苦労するかもしれませんので、動画のサポートくらいで丁度いいと思います。
完成した非常停止拡張ボタンはこんな感じに出来上がります。
右から3DプリンタモデルデータG-code用USBコネクタ、USB-LED照明テープのON/OFFスイッチ、非常停止ボタン、背面にUSB-LED照明テープ用のUSBコネクタSnapmaker用電源ケーブル2本(オス/メスコネクタ)となっています。
AC-DCアダプタのケーブルを切って改造するわけではなくDCコネクタに刺すだけなので構造としてはシンプルです。
自己責任にはなりますが、他の3Dプリンタでも電源コネクタサイズを合わせれば使えると思います。
下記にモデルデータを置いておきますので、必要な方はSTLデータをダウンロードして使ってください。
注意事項
著作は捨ててません。
他に紹介される場合はこのページにリンクしてください。(通知不要)
このデータのリバース不可・改変配布はしないでください。
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上位機種 (こちらの3機種は記事で紹介した非常停止ボタン非対応です。)
Snapmakerとは? 知らない人におすすめのモノ
Snapmakerはキックスターターで一躍知名度がアップし、初期モデルのSnapmaker 3-in-1 Originalが発売されました。 現在ではSnapmaker Ver.2のキックスターターがスタートし量産・出荷を開始しています。
このsnapmakerの良いところは主に以下の点で優れていることです。
- 筐体が金属製(アルミ合金)
- リニアステップモーターを使用したモジュールリニアレール
- 付属ソフトの優秀さはピカイチ
- 1台で3Dプリンタ・レーザー・CNCカービングの3種の加工ができる
- 加工精度が非常に高い。
- NC系の旋盤・マシニングなど経験がある人には更に奥深い加工ができる。
- 3つの機能がついて値段が安い。
- Snapmaker Ver2.0から加工サイズが違う3機種をリリース
- 後付けでオプションを追加できる(回転C軸など:リリース予定)
- 国内代理店が存在しメーカー保証・部品販売に問題がない。
安い3Dプリンタは加工精度が悪く、3Dプリンタとして出力にも影響するようなものが多々ありますが、このSnapmakerは非常に安定している加工機です。
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